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道路交通法は、第72条で運転者が人身事故を起こした加害者に2つの義務を課しているとある。1つは、現場で被害者を救護すること、もう1つは、警察に速やかに通報すること。

ドライバーにとって基本中の基本であるこれらの義務を怠って「ひき逃げ」(事故現場離脱行為)をすれば、すぐに手当てをしていたら助かる命を死に追いやることが少なく、交通犯罪の中で特に卑劣とされる。

それよりもはるかに悪質な事件が、先日、佐賀県唐津市で起きた。ダンプカーに小学5年の男児がはねられ、頭の骨を折るなど治療に一刻を争う大けがを負っているのに現場から約3キロ離れた林道に運ばれ、放置された。

男児は事故に遭ってから8時間以上たった深夜に家族が見つけ、集中治療を受けているが、すぐ治療をしていたら、回復はもっと早かったでしょう。見つかるのがさらに遅れていたら、命を落としていたかもしれない。男児の家族らの怒りと心痛は深い。

逃げていた容疑者の男は4日後、道交法違反(ひき逃げ)と業務上過失傷害の疑いで逮捕された。「(男児が)死ぬかもしれないと思い、怖くなった」などと述べているそうだ。

捜査当局は殺人未遂容疑での立件も視野に入れているそうだ。林道に放置した結果「死ぬかもしれないが、それでもかまわない」と認識していたのなら、「未必の故意」による殺人未遂罪が成立し、逃げたことで罪の重さは何倍にもなる。

ドライバーには常に、人身事故を起こす恐れが付きまとうが、大半の人は、そのようなことがないように、慎重にハンドルを握っているでしょう。

しかし、日ごろは冷静でも、事故を起こせば判断力を失う可能性は十分あり、今回のように救命救急と正反対の行動に走る恐れが絶対ないとは言い切れない。万一人身事故を起こした場合、いかに動転していようと決して救護と通報を怠らないという鉄則を心に刻み直したいものである。

 「危険運転致死傷罪」が2001年末に新設され、飲酒運転など悪質な運転をして人を死傷させた場合の罰を重くした。最高で懲役20年の刑が科せられ、この結果、飲酒運転などは著しく減ったそうだ。ところが近年、ひき逃げの発生が目立って増えているとここである。

ひき逃げの罰則は現在「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」で、業務上過失致死傷罪との併合罪の適用でも最高で懲役7年6月、刑の軽重で大きな差があるため、現場から逃げて飲酒運転の証拠を消して危険運転致死傷罪の適用を免れようとする者もいるという。

人命を危機にさらしながら、逃げた方が得と計算するほどモラルの崩壊が深刻化しているのなら、被害者の遺族や家族らが求めているように、ひき逃げの重罰化を含めた再考が必要になる。

みなさん車を運転する際は十分ご注意を!

 

九州福岡の探偵社 帝国法務調査室