先の記事でも取り上げた、17歳少女による「大量殺人予告」騒ぎは紙媒体の新聞やネット上のニュースサイトでも取り上げられ、一部では「噂が噂を呼ぶ」ような事態も生じたようだ。
ニュースというものは往々にして噂が噂を呼び嵐が嵐を呼ぶというようなことになりやすい。言葉を換えれば、マスメディアにニュースとして取り上げられることによって「大事件」になる、ということである。つまり、必ずしも「大事件」だから報道されるのではなくて、報道されることによって「大事件」化するという側面は否定できない。

今回の殺人予告とは内容が異なるものの、数年前に九州のとある県で銀行の倒産騒ぎが生じ、一時は取り付け寸前の事態にまで発展して、その銀行の各支店には預金を引き出そうと駆けつけた顧客の長い列ができた。ところが後に判明したところでは、この騒ぎの発端も「いたずらメール」であった。このときは、先の「大量殺人予告」とは違い、不特定多数の人間に公開される掲示板等ではなく、私信の形での電子メールにすぎなかった(注:記憶だけで書いているのでこの点は誤っているかもしれない)わけだが、それでもこのいたずらに発した虚報が、幾何級数的(ネズミ算式)に拡がって一時的なパニックを引き起こしたわけである。
ちなみにこのときも、発端となった「いたずらメール」の発信者(つまり騒ぎの張本人)は若い女性であったかに記憶する。

いたずら書き込み・いたずらメールの是非については改めて問うまでもないことなのでひとまず措くとして、そうした虚報の引き起こす悪影響については考えてみる必要がありそうである。ことは「情報」の「処理」に関する問題といえる。

第一に、たとえそれが私信の形をとったメールにせよ、あるいはどこの誰とも分からない書き込みであるにせよ(いかなる伝達手段であるにせよ)、そこに書き込まれた内容は一種の情報である(情報であるに過ぎない)。そして情報というものは(言うまでもなく)常に正しい(正確な)ものではない。時には正確であり、またときには誤っている。

第二に、テレビ・ラジオのニュース速報などは別としても、たいていマスメディアによってもたらされる情報の大部分は「遅れた」「ホットでない」情報である。つまりは「今更そんなこと言われてもね・・・」という情報である。というのもマスメディアの取り扱う「報道」すなわち「情報」の一次発信源は報道機関ではない。当今のマスメディアのような「御用聞き」型・「子供のお使い」型報道機関にとって、情報の一次発信源は主に官庁・政治家・企業・団体であって、報道機関はその取り次ぎ業者とでも言うべきである(それどころか、元になる情報にあれこれと付随的な(本質とは無関係な)情報を上乗せして”悪ノリする(調子に乗る)”、まるでワル餓鬼にも比すべき報道「業者」も存在するほどである)。したがって一次発信源から報道機関、そして私たちへと情報が伝達されるのに要する時間は必然的に長くなってしまうわけである。そうして情報の価値が「冷めてしまう」のだ。

結局のところ、マスメディア経由のニュースというものは正しい情報かもしれないし間違っている情報かもしれず、さらには、仮に正しい情報であったにしても既に「賞味期限切れの」「使い回しの」情報であることがある、と、そういうことなのだ。この点を看過してしまえば、噂に踊らされ、あるいは対応しようにも既に手遅れ、伝言ゲームによる「罪なき罪」の犯人になる、ということにもなりかねない。

つまるところニュースや情報に関しては可能な限り新鮮な、贅肉のない情報を優先的に取得するという構えを持っていた方が無難であろう。

なお、今回の「大量殺人予告」に関しては、マスメディアの報道にずいぶんと先立って警察機関よりメール配信による情報提供がなされていた(メールはあらかじめ登録しておけば随時配信されることになっている。)。新聞の朝刊で「大量殺人予告」を読んでいる時点で既に「犯人を特定した」とのメールが配信済みであった。

ちなみに福岡県警の情報メールは次のリンクから登録できます(クリックすると別ウィンドウが開きます)。

「福岡県警察メール配信システム」


(上の画像は福岡県警マスコット「ふっけい君」。画像をクリックすると福岡県警HPへジャンプします)

これらのメール配信システムにより、毎日のように起こっているひったくり・痴漢・声かけ事案についても、それこそ「毎日」配信されます。マスメディアが取り上げることのない、「報道されない犯罪」がどれほどたくさん起こっているのかをおぼろげに感じることも出来ます。
ただしマスメディアの報道とは異なり被疑者の氏名・年齢・職業・生い立ち・学生時代の成績・趣味・嗜好・その他、野次馬的好奇心を満足させるような情報は皆無です。

もし未登録でも、過去に配信されたメールなら読めますので興味のある方はご一読なさってみてはいかがでしょうか。また、福岡県警以外の各都道府県も同様のメール配信サービスを行っていると思われます。
(九州各県のメール配信サービスについては後日記事をアップする予定です)