携帯電話の盗聴か可能か?
1997年、国家安全企画院をその渦中とする携帯電話の盗聴スキャンダルが過熱した韓国全土で多くの人々に一つの疑念すなわち、はたして携帯電話機に盗聴器を仕掛ける事は可能か?という疑念が生じつつあった。今日のデジタル方式携帯電話機に盗聴器を仕掛けることについて、理論上はいくつかの手法が存在はするものの現実的には不可能であると専門家は言う。1990年代に使用されていたアナログ式携帯電話機は盗聴が容易であったが、それに比べると現在のデジタル式携帯電話機は極めて盗聴が困難だと韓国情報通信大学校の李(Lee Hyuck-jae)教授は次のように言う。
「現在のところ、韓国に於ける如何なる法執行機関も移動体通信を簡単に盗聴する能力を有するとは思わない。たとえそれらの機関がそうしたものの開発に莫大な資金を注ぎ込んだとしても、彼らにとって満足な結果は得られないのではないか。」
典型的な携帯電話盗聴の方法は、携帯電話機から受発信される電波を傍受した上でこれを音声に変換するというものである。初期のアナログ方式では、音声がそのまま送受信されていたため、盗聴者は電波を受信するだけで移動体通信を立ち聞き(盗聴)することが可能であった。しかし韓国における現行のデジタル移動体通信システムであるCDMA(Code Division Multiple Access)方式では総ての通話もしくはメッセージがデジタル信号へ暗号化(変換)される。結果として、盗聴者がその音声を聞くことはできず、ただコンピューターのみが理解できるちんぷんかんぷんな信号しか得ることができない。人間には理解できないこのデジタル信号を解読して音声化するためには、高価かつ複雑な(解読用の)機械を用いなければならない。もし移動体通信を盗聴したいのなら、電波を傍受し、かつ(継続的に傍受する為に)傍受対象を追跡するための大型装置が必須である。それに加えて、何人もの専門家たちで信号を解読することも必要であるが、必ずしも良い結果(盗聴・解読の成功)が得られる保証はない。はたしてこんなものが”実用的な”技術であろうか? と李教授は強調する。

(以下次号)
[2009/06/30一部追加]

出典:Kim Tae-gyu,"Is wiretapping possible for cell phones?",July 29, 2005(http://www.asiamedia.ucla.edu/article.asp?parentid=27458)